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大阪地方裁判所 昭和61年(わ)1001号 判決

本店所在地

大阪市天王寺区東高津町一二番一四号

宮田殖産株式会社

(右代表者代表取締役 横山孝子)

本籍

新潟県長岡市西新町一丁目七二番地

住居

大阪市天王寺区東高津町一二番一四号

無職

宮田義雄こと宮田歳久

大正一〇年八月九日生

右宮田殖産株式会社に対する法人税法違反、右宮田歳久に対する法人税法違反、所得税法違反各被告事件について、当裁判所は、検察官城祐一郎出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人宮田殖産株式会社を罰金一二〇〇万円に、被告人宮田歳久を懲役二年及び罰金二八〇〇万円に処する。

被告人宮田歳久においてその罰金を完納することができないときは、金一五万円を一日に換算した期間(端数は一日に換算する)、同被告人を労役場に留置する。

被告人、宮田歳久に対し、この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人宮田殖産株式会社(以下、被告会社という。)は、大阪市天王寺区東高津町一二番一四号に本店を置き、有価証券の売買及び不動産賃貸業等を目的とする資本金六〇〇万円の株式会社であり、被告人宮田歳久(以下、被告人という。)は、昭和六〇年一月三一日まで被告会社の代表取締役として、その業務全般を統括するとともに、個人で同所に事務所を置き、被告会社から宝くじを仕入れて宝くじの売り捌き業等を営んでいたものであるが

第一  被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て

一  被告会社の昭和五六年一〇月一日から同五七年九月三〇日までの事業年度における所得金額が四七二六万八三九一円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、宝くじの販売手数料収入の一部を除外するなどの行為によりその所得の一部を秘匿したうえ、同五七年一一月二六日同市天王寺区堂ヶ芝二丁目一一番二五号所在の所轄天王寺税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二九四万六九五九円でこれに対する法人税額が八八万三八〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一八八九万二五〇〇円と右申告税額との差額一八〇〇万八七〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ

二  被告会社の同五七年一〇月一日から同五八年九月三〇日までの事業年度における所得金額が四〇九七万一一四四円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、前同様の行為によりその所得の一部を秘匿したうえ、同五八年一一月二八日前記天王寺税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三四二万二九六六円でこれに対する法人税額が一〇二万六六〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一六二四万七八〇〇円と右申告税額との差額一五二二万一二〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ

三  被告会社の同五八年一〇月一日から同五九年九月三〇日までの事業年度における所得金額が五四九一万二七九四円(別紙(三)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、前同様の行為によりその所得の一部を秘匿したうえ、同五九年一一月一四日前記天王寺税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四〇一万八八五四円でこれに対する法人税額が一二四万五五〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額二二七九万二八〇〇円と右申告税額との差額二一五四万七三〇〇円(別紙(五)税額計算書参照)を免れ

第二  被告人は、自己の所得税を免れようと企て

一  昭和五六年分の所得金額が九五五九万九八八六円(別紙(六)総所得金額計算書及び修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、その所得の一部を無記名の定期預金等として留保するなどして秘匿したうえ、同五七年三月一二日、前記天王寺税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一四九五万七〇〇〇円でこれに対する所得税額が四五八万一九〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告人の同年分の正規の所得税額五五八四万四七〇〇円と右申告税額との差額五一二六万二八〇〇円(別紙(九)税額計算書参照)を免れ

二  昭和五七年分の所得金額が八七五〇万九七四一円(別紙(七)総所得金額計算書及び修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、前同様その所得の一部を秘匿したうえ、同五八年三月一一日、前記天王寺税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一四〇三万九六〇〇円でこれに対する所得税額が四一六万〇一〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告人の同年分の正規の所得税額五〇〇四万〇九〇〇円と右申告税額との差額四五八八万〇八〇〇円(別紙(九)税額計算書参照)を免れ

三  昭和五八年分の所得金額が八八二〇万八〇一九円(別紙(八)総所得金額計算書及び修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、前同様その所得の一部を秘匿したうえ、同五九年三月一二日、前記天王寺税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が一七九三万五四〇〇円でこれに対する所得税額が六〇五万一〇〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告人の同年分の正規の所得税額五〇七一万二九〇〇円と右申告税額との差額四四六六万一九〇〇円(別紙(九)税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告会社代理人兼被告人の当公判廷における供述

一  被告会社代表者の検察官に対する供述調書二通(証拠等関係カード検察官請求分番号99、100)

一  被告会社代表者に対する収税官吏の質問てん末書一五通(前記番号84ないし98)

一  被告人の検察官に対する供述調書二通(前記番号137、138)

一  被告人に対する収税官吏の質問てん末書二二通(前記番号115ないし136)

一  横山榮次の検察官に対する供述調書二通(前記番号112、113)

一  横山榮次に対する収税官吏の質問てん末書一一通(前記番号101ないし111)

一  天王寺税務署長作成の回答書(前記番号27)

一  商業登記簿謄本(前記番号83)

判示第一の各事実について

一  被告会社代表者作成の確認書(前記番号13)

一  横山榮次作成の確認書九通(前記番号7、14、18、19、22、24、29、31、32)

一  収税官吏作成の査察官調査書一四通(前記番号8、9、15ないし17、20、23、28、30、33ないし37)

一  天王寺税務署長作成の回答書二通(前記番号25、26)

判示第一の一の事実について

一  天王寺税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの)(前記番号4)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号1)

一  収税官吏作成の査察官調査書(前記番号38)

判示第一の二の事実について

一  天王寺税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの)(前記番号5)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号2)

判示第一の二及び三の事実について

一  横山榮次作成の確認書(前記番号21)

判示第一の三の事実について

一  天王寺税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの)(前記番号6)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号3)

一  横山榮次作成の確認書(前記番号10)

一  収税官吏作成の査察官調査書二通(前記番号11、12)

判示第二の各事実について

一  天王寺税務署長作成の回答書(前記番号139)

一  被告会社代表者作成の確認書八通(前記番号45、47、50、51、53、54、67、74)

一  横山榮次作成の確認書三通(前記番号61、64、80)

一  収税官吏作成の査察官調査書二六通(前記番号46、48、49、52、55ないし59、62、63、65、66、68ないし73、75ないし79、81、82)

判示第二の二及び三の事実について

一  収税官吏作成の査察官調査書(前記番号60)

判示第二の一の事実について

一  天王寺税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの)(前記番号42)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号39)

判示第二の二の事実について

一  天王寺税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの)(前記番号43)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号40)

判示第二の三の事実について

一  天王寺税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの)(前記番号44)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号41)

(法令の適用)

一  罰条

1  被告会社

判示第一の各所為につき法人税法一五九条一項、一六四条一項

2  被告人

(一) 判示第一の各所為につき法人税法一五九条一項

(二) 判示第二の各所為につき所得税法二三八条一、二項

二  刑種の選択

被告人に対し、判示第一の各罪につきいずれも懲役刑、判示第二の各罪につきいずれも懲役刑及び罰金刑併科

三  併合罪の処理

1  被告会社

刑法四五条前段、四八条二項

2  被告人

懲役刑につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の一の罪の刑に加重)、罰金刑につき同法四八条二項

四  労役場留置

被告人につき刑法一八条

五  刑の執行猶予

被告人の懲役刑につき刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松本信弘)

別紙(一) 修正損益計算書

宮田殖産株式会社

自 昭和56年10月1日

至 昭和57年9月30日

〈省略〉

別紙(二) 修正損益計算書

宮田殖産株式会社

自 昭和57年10月1日

至 昭和58年9月30日

〈省略〉

別紙(三) 修正損益計算書

宮田殖産株式会社

自 昭和58年10月1日

至 昭和59年9月30日

〈省略〉

別紙(四) 税額計算書

宮田殖産株式会社

〈省略〉

別紙(五) 税額計算書

宮田殖産株式会社

〈省略〉

別紙(六) 総所得金額計算書

宮田歳久

自 昭和56年1月1日

至 昭和56年12月31日

〈省略〉

修正貸借対照表

宮田歳久

昭和56年12月31日現在

〈省略〉

別紙(七) 総所得金額計算書

宮田歳久

自 昭和57年1月1日

至 昭和57年12月31日

〈省略〉

修正貸借対照表

宮田歳久

昭和57年12月31日現在

〈省略〉

別紙(八) 総所得金額計算書

宮田歳久

自 昭和58年1月1日

至 昭和58年12月31日

〈省略〉

修正貸借対照表

宮田歳久

昭和58年12月31日現在

〈省略〉

別紙(九) 税額計算書

宮田歳久

〈省略〉

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